歴史は繰り返す
コロナ前の2019年6月以来、約5年ぶりに中国の福建省の一部を視察させていただいた中で得られたわずかな見聞を踏まえての所感になりますが、大局的に拡大解釈したレポートを報告させていただきます。
5年前に訪れた際は、中国国内の景気の低迷を嘆く声はなかったように思いますが、今回は案内いただいた中国の方の複数の方から、景気の低迷を嘆く声が聞こえました。その原因としては、ゼロコロナ政策の影響が大きく、「あれはひどい政策だった。なぜもっと早く規制解除をしなかったのか。」と、40才の男性が怒りを露わに批判していたのが印象的でした。
厦門の観光名所に連れていってもらい、その場の様子を眺めさせていただき、夜のライトアップの凄さや人出の多さに驚きましたが、コロナ前は国内観光客で人が溢れるほどだったようで、その頃と比べるだいぶ少なくなってしまっているとのことでした。商業施設で買い物をする人も少ないようで、不景気の影響から、観光や買い物が控えられていることを知りました。
厦門の国際石材展覧会も見学してきましたが、不動産バブルの収縮の影響もあり、来場者数はコロナ前と比べるとだいぶ減っているとのことでした。厦門のマンション価格も、ピーク時の半分ほどに下がっているそうです。
中国の状況を見聞きして、高度成長による経済発展という時期は、限られており、それに伴い様々な資産が上がっていき、実態を超えた価値まで膨らむバブルという異常な現象は必ず限界を迎え破綻をするということは、日本の歴史を見て知っていたと思うのですが、それでも欲に眩んでしまうのが人間なのだなと思いました。
なお、国民性として、中国の方は、全額投資につぎ込むという行動を取る人が多いそうです。自然災害が多い日本で生き残っていくには、未来を心配することが重要であったことから、日本の国民性は心配性であり、そうした国民性から投資より貯蓄を選択する人が多いという話を聞いたことがあるので、中国の方がそうした行動選択をできる背景には、自然災害が少ないということが要因としてあるのだろうなと思いました。
また、バブルの恩恵を受けて経済的な豊かさを享受できた人とそうでない人とで、現在の生活レベルや現状に対する不満の度合いにも違いがあるなと感じました。そして「ゼロコロナ政策」もさることながら、「一人っ子政策」という人口抑制策の影響が顕在化してきていることも感じました。